ゴルフクラブを考えるブログ

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【2018-2019モデル】元ゴルフクラブ開発者がカーボンクラウンドライバーおすすめ5機種を紹介

カーボンクラウンドライバーって何がいいの?

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新商品ドライバーに次々と採用されているカーボンクラウン構造ですが、実際どんな効果があるのかわからないというゴルファーもたくさんいると思いますので元ゴルフクラブ開発者の目線でカンタンにカーボンクラウン構造のメリット、デメリットを紹介します。

 

メリット① ヘッドの上部が軽くなり低重心化できる 

一般的なドライバーに使用されているのはチタンという金属です。軟鉄やステンレスよりも比重が軽くてヘッドを大型化(大慣性モーメント化)できるというメリットがあります。

そんなチタンよりも比重が軽いのがカーボンです。ヘッドの上部をカーボンに置き換えることによって低重心化します。

低重心のドライバーは打ち出し角の高い球が打ちやすいです。

また、重心よりも上で打てるとギア効果でバックスピンが減少します。逆に重心よりも下で打ってしまうとギア効果でバックスピンが増加してしまいます。(下図参照)

つまり重心が低いドライバーは高弾道低スピンのボールが打ちやすく、飛距離が出るドライバーになるということです。

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メリット② 設計自由度の向上

適正なヘッド重量は決まっています。ドライバーでだいたい300g前後です。シニア・レディース向けになれば軽くなり、アスリート向けになれば重くなります。

ヘッドに軽いカーボンを使用すると余った重量を別の場所に使えます。

重心位置を最適化したり、ヘッドを大きくしたり、柱を2本たてたり、溝をつけたり。

 

デメリット 打球音

一般的にはカーボン素材を使用したヘッドは音が悪いといわれています。金属の「カキーン」という音にはならず「ポカン」とか「ボコッ」という音になりやすいです。これはカーボンという素材自体が振動(音)を吸収しやすいため、音が響かなくなってしまうからです。

しかしながら近年は設計が向上してそこまで悪い打球音のクラブは減って、アスリートゴルファーが好む「バシッ」という打球音のモデルも多くなってきました。

が、爽快感のある打感という点ではチタン製ヘッドに軍配が上がります。

 

カーボンクラウンドライバーはこんな人におすすめ

1.スピン量が多くて飛距離をロスしているゴルファー

2.引き締まった打感が好みのゴルファー

 

 

 

カーボンクラウンドライバー5機種紹介

それでは、カーボンクラウンドライバーを3つのカテゴリーに分けて紹介していきます。

  • つかまるカーボンクラウンドライバー
  • 直進性が高いオートマチックなカーボンクラウンドライバー
  • アスリートゴルファーが叩けるカーボンクラウンドライバー

 

 

 

 

 

つかまるカーボンクラウンドライバー

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テーラーメイド

Mグローレ

 

大本命!

テーラーメイド社が日本市場向けに設計開発したグローレシリーズの最新ドライバー。

前のグローレが非常に完成度が高いクラブで大ヒットしました。

日本市場に向けのグローレは米国市場向けモデルのM3.M4とは差別化された設計がされています。

まず重量が273gということで米国市場向けのモデルと比較して軽いです。一般的には軽いクラブの方がHSが上がりますので飛距離が期待できます。

つぎにフェース。M3.M4と同じくミスヒットの影響を軽減するツイストフェースの機能が搭載されていますが、グローレは日本人が好む打感を達成するために鍛造フェースになっています。形状も日本市場に合わせて比較的オーソドックスです。

ちなみにMは「マルチマテリアル」の頭文字で、チタンとカーボンの複合素材で設計されていることを表しています。

クラウンとソールにカーボンを使用し慣性モーメントアップ。ツイストフェースによりミスへの許容度がアップしています。

 

 

 

 

 

 

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タイトリスト

VG3

本モデルにはHSアップを目的として「チーターテクノロジー」と「スピードクラウン」というテクノロジーが搭載されています。

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チーターテクノロジー。クラウンに穴があけられており軽量化がなされています。

タイトリストの公式サイトを拝見させていただくと、軽量化と慣性モーメントアップを実現したと説明ががあります。しかし、これには技術者としては腑に落ちない感じがします。

軽量化するならば、穴を複数空けるのではなく、他のカーボンクラウンのドライバーと同様にクラウンをがばっと開口にして丸ごとカーボンに代えてしまった方が効率がいいです。

慣性モーメントアップもできるだけ重心よりも遠い位置に重量をつけるのがいいので、ソールにウェイトをつけたり、ホーゼルを重くしたり、バックの深い位置にウェイトをつけるのが効率がよく、あえて重心からそんなに離れていないクラウンに斑に重量を残すメリットが理解できませんでした。個人的にはこのような見かけ倒しの構造には好感が持てないのですが、打ってみてこの機能のメリットに気づくことが出来ました。

それは打感です。音がいい。クラウンをすべてカーボンに置き換えず、チタンを残すことでクラウンの剛性があがり打感の向上に寄与していると考えられます。

 

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ロフトによって形状が違います。とてもいい設計だと思います。

通常ドライバーは同じモデルであればロフトが違ってもヘッド形状自体は同じことが多いです。市場の99%のもでるがそうなっています。

ロフト角は弾道に大きく影響を与えます。珠が上がりにくいゴルファーは寝ているロフトを選び、球が高く吹き上がってしまうゴルファーは立ったロフトを選択するべきであり、実際にゴルファーは自分に合ったロフトを選択しています。

(効率を重視して)珠が上がりにくいゴルファーと、球が高く吹き上がってしまうゴルファーに対して同じ形状、同じ重心のヘッドを提案せずに、しっかりスイングのタイプに合わせた形状重心設計したヘッドをそれぞれ提供するというタイトリストさんの考え方は素晴らしいと思います。

 

 

 

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キャロウェイ

ローグスター

キャロウェイの大ヒットモデルのエピックの後継モデル・・・と思いきや別物でした。

キャロウェイとしても別ブランドという位置づけのようです。

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ボディのたわみを抑えてフェースを効率よくたわませる「ジェイルブレイクテクノロジ―」は搭載されていますが、エピックと比べるとローグはやさしいクラブです。

エピックは技術やコンセプトが非常に魅力的でかつ、飛距離も出るということで大ヒットしました。が、ヘッドが小さくクラブも重いので日本市場の主流のモデルと比較すると若干ハードなクラブであると思います。

そのエピックに対してローグスターはかなりやさしい設計がされています。

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ヘッドの投影面積も大きく安心感があり大慣性モーメント設計がされております。

フェース角もフックフェースに見えて非常に捕まりがよさそうです。

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フェースはシャローでもなくディープでもなくオーソドックスな大きさです。

市場の中では飛びぬけてシャローというわけはありませんが、エピックと比較すると明らかにシャローでボールが高く上がる設計になっています。

エピックが使用したかったけれどハードな印象で使いあぐねている方は、ローグスターがおススメです。

 

 

直進性が高いオートマチックなカーボンクラウンドライバー

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テーラーメイド

M4

 ヘッド体積はルール上限の460cc。ヘッドの大型化、大慣性MOI化はやさしい曲がらないドライバーを作る上で絶対必要なことです。おそらくヘッド体積460cc以外のモデルで大ヒットするようなモデルは生まれないでしょう。

 

曲がらないという点で、テーラーメイドのM3/M4に搭載されている新技術のツイストフェースは秀逸です。

ドライバーのフェースは平面ではなく湾曲しています。この湾曲はバルジ・ロールといいます。

バルジ・ロールの役割は、ミスヒットしてしまった打球を目標の方向に着弾するように補正することです。

例えば、トウ側にあたったボールはギア効果で左側に巻き込むような回転がかかります。左側に行きすぎないようにトゥ側はフェースが平面ではなく右側を向くように湾曲しているのです。右側を向くのでボールが右側に打ち出され左に行く回転とつり合いがとられるのです。

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 アマチュアゴルファーは、フェースのセンターではなく、フェースの「トウ側上目」や「ヒール側下目」でボールをヒットしていることが多いです。

また、トウ側上目に当たるとき、フェースはクローズ(閉じた=左を向いた)状態であり、ヒール側下目に当たるとき、フェースはオープン(開いた=右を向いた)状態になっています。

 ツイストフェースは、トウ側上目はオープンかつロフトが寝るように、ヒール側下目はクローズかつロフトが立つようにフェースをツイスト(ねじる)しています。これにより、トウ側上目に当たった場合の低弾道フック、ヒール側上目に当たった場合の高弾道スライスを、それぞれ軽減してくれます。

 

M3とM4が同時発売されましたが、M3はウェイトをユーザー自身で移動させることで重心調整が可能です。M4は重心調整ができない代わりに寛容性と打感打音が良く設計されています。

ミスを気にせずまっすぐ飛ばせるという点ではM4に軍配が上がるといえるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ブリジストン

ツアーB XD-3

カーボンクラウンの大きなメリットは低重心化と大慣性MOI化です。

しかし、カーボンクラウンにもデメリットがあります。

ゴルフクラブのヘッドはインパクトの瞬間にたわみ、復元することでボールをヘッドスピード以上の速度で打ち出しています。

ヘッドクラウンのたわみのスピードが速いと、ボールの初速アップします。

カーボンはチタンと比較するとたわみの戻りのスピードが遅いことが分かっています。

そこでブリヂストンは、タイヤの構造から着想を得て、“金属弦”を組み込み、カーボンのたわみ戻りの速度がアップさせました。

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また、ソールのセンターとヒールに2グラムと8グラムのウェイトが配置されています。これを入れ替えることで重心位置が変わるわります。

8グラムをセンターに移動するとやや前重心になり、より低スピンの弾道になります。

2グラムをセンターに移動すると慣性MOIがアップし新重心になるため、やさしく、球が上がりやすいセッティングになります。

非常にシンプルな調整機構で使い分けがしやすいです。

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ツアーB XDシリーズの後継モデルですが、これまでのモデルと構造が大きく異なるため格段に進化しているといえます。

また、形状も日本メーカーらしいオーソドックスな形状で構えやすいです。

カーボンクラウンは欧米メーカーが先駆者ですが、欧米メーカーのヘッド形状はつかまりや慣性MOIを意識してヘッドが大型化し平べったい形状になりがちです。

わたしは形状の美しさも大切な機能の一部だと考えています。

ダンロップブリジストン等の日本メーカーもカーボンヘッドの開発に着手したことで形状が美しく性能も高いヘッドが出てきたことを大変好ましく思っています。

飛距離に悩んでいて、かつ欧米メーカーのいわゆるデカヘッド抵抗があるゴルファーにおススメです。

 

まだまだカーボンクラウンのモデルはたくさんありますが、使いやすいモデルはこの5機種かなと思います。

ダンロップのスリクソンやテーラーメイドのM3もいいドライバーなのですが若干アスリート向けの印象があるので割愛しました。需要があれば紹介記事を書きます。

また、カーボンクラウンのいいドライバーが出たら追記していきたいです。

 

カーボンクラウンを検討しているゴルファーの参考になればうれしく思います。

 

 

 

 

 

 

カーボンクラウンを検討中のゴルファーの参考になればうれしく思います。